私とスーパーマリオメーカーシリーズ
スーパーマリオメーカーシリーズは、プレイヤーが自分でマリオのコースを作成・投稿し、また他のプレイヤーが作ったコースを遊ぶことができるというサービスです。
私自身もスーパーマリオメーカーシリーズを良く遊び、これまでシリーズ累計で150以上のコースを投稿してきました。また、他のプレイヤーが作ったコースを5000以上は遊んできました。今回は、それらを通じて考えたことを述べたいと思います。
なおここでは、スーパーマリオメーカーの用語に従い、「ステージ」のことを「コース」と呼びます。
レベルデザインの高速道路
私から見たスーパーマリオメーカーの最大の魅力は、開発・公開の手軽さです。
自分で1からプログラムを組んでゲームを作る場合、開発には年単位の時間がかかります。しかしスーパーマリオメーカーの場合、ちょっとしたアイディアを試す程度なら開発・公開にわずか数時間しかかかりません。しかもこれをスーパーマリオという完成されたフォーマットの上で行えるので、作り手はただコースを作ることだけに集中できます。これはゲームクリエイターの視点で見れば驚異的なことです。
そしてスーパーマリオメーカーでは、凄まじい数のプレイヤーが、日々ものすごい数のコースを投稿しています。その中からはごく一部ですがクリエイターとしての能力に開花し、良質なコースを数多く投稿するプレイヤーが出てきます。スーパーマリオメーカーに類似したコンストラクションツールは他にもありますが、最大の違いはプレイヤー層の厚さです。
まさにレベルデザインの高速道路と呼ぶべき、切磋琢磨の激しい世界です。私自身も、ゲーム開発の新たな知見を得たり、他のプレイヤーから学ぶところがたくさんありました。
これらの体験を経て私が感じたのは、クリエイターとしてのアウトプットの回数を増やさないと現代ではすぐ周囲に追い抜かれてしまうということです。
時間をかけてより良い作品を目指すのもいいですが、それよりも試行回数を増やしたほうが結果として上達が早くなると感じました。
プレイヤーが本当に求めるもの
ところでスーパーマリオメーカーで特徴的だったのは、いわゆるスタンダードなスーパーマリオのコースではなく、スタンダードから大きく外れたコースが人気を集めていたことです。
自由な音階を鳴らす仕掛けを使って音楽を演奏することに特化したコース、何もせずとも自動でゴールまで運ばれるコース、立ち止まらず常に全力で走ることを前提としたコースなどです。
そうしたコースでも人気上位のものはやはり完成度が高く、たとえスーパーマリオのスタンダードから外れても、人を楽しませることにおいては目を見張るコースが多くありました。
どちらかというと、アクションゲームが苦手な人でも手軽に爽快感や達成感を味わえるコースの人気が高い傾向があったと思います。単に難易度が低ければいいというものではなく、簡単ながら爽快感を味わえるというのがポイントです。
スーパーマリオメーカーの主要プレイヤー層は小学生あたりだと思われますが、スタンダードなスーパーマリオのコースは、注意深く作らないと主要プレイヤー層にはやはり難しすぎるのだと伺えます。手軽に爽快感を味わえるコースが人気を博していたのは、その裏返しでしょう。
そうしたコースは、スーパーマリオメーカーの枠組の中でこそ存在しえるものだと思いますが、しかしスーパーマリオ以外のゲームを作る場合でも、現代のプレイヤー層が何を求めているかのヒントにはなります。
それを知ることが出来たという点でも、スーパーマリオメーカーは学ぶところの多いゲームでした。願わくば、レベルデザインの高速道路という場を切り開いたこのシリーズが今後も続くことを望みます。