sam113のアクションゲーム研究室

おもにフリーや同人、インディーズなどでアクションゲームを作っている方に向けて、アクションゲームを作るヒントになるような情報を発信していきたいと思います。

ゲーム全体の難易度曲線 ~無理なくゲームの難易度を引き上げるには~

プレイヤーの習熟度を測る

アクションゲームは、プレイヤーの腕前の差が現れやすいゲームジャンルです。ゲームを作る側としては、どんな腕前のプレイヤー層を想定するかは戦略の分かれ目ですが、いずれの層を狙うにせよ、狙ったプレイヤー層にちょうど良い難易度のゲームを作ることが重要です。

ゲームの最初の方は難易度を低めに、後半になるに従い難易度を高めていくのが基本ですが、この時の難易度曲線がプレイヤーの習熟度の上昇とよくマッチすることが肝心です。どうすれば、適切な難易度曲線を設定できるでしょうか?

ゲームの難易度は、AIで自動的に設定する方法もありますが、ここでは作り手の手作業による難易度の設定方法を取り扱います。

誰もが最初は初心者

ゲームの難易度設定は、他人に勉強を教えるのに似ています。基礎を教えないうちに最初から応用を教えても相手は付いて来れません。基礎を教えるのにも順番があり、一番基本となる事項から順番に教えていく必要があります。
相手のペースに合わせて基礎から応用へと徐々にステップアップしていけば、やがて複雑な応用問題も解けるようになるでしょう。

たとえ上級者向けに作ったゲームでも、最初はすべてのプレイヤーが初心者です。どんなゲームであれ、ゲームのルールを覚えたりゲームに慣れたりするための時間は必要なものです。

そして良く出来たゲームは、ゲームに慣れる過程そのものを楽しく感じさせます。ゲームに慣れる過程が楽しいと、プレイヤーは自発的にゲームに挑戦するようになり、自然と腕前が上達していきます。

そのため、遊んでいて自然とゲームのコツが身に付くようなチュートリアルを作るのが理想です。失敗を繰り返して学んでいくタイプのゲームでも、その失敗の繰り返しがチュートリアルとして機能していれば良いのですが、失敗の繰り返しが楽しいことが大前提です。


アクションゲームの場合、ゲームにすぐ慣れる人と、なかなか慣れない人で大きく差が出てきます。これはゲームのルールを頭で覚えるだけではなく、運動神経や反射神経といったセンスが求められるためです。

この個人差をどうやって埋めていくかは重要です。個人差を埋める一つの方法は、プレイヤーが十分に上達するまで、何度も繰り返し練習ができるようなゲーム構造にすることです。

たとえば、すでにクリアしたステージを何度も繰り返し遊べるようにするなどの方法があります。ここでのポイントは、繰り返し遊んでも楽しいと思える構造にすることです。そうすることで、プレイヤーは自分から楽しんで練習を行い、難易度曲線が自然に調整されていきます。

そして応用問題へ

ゲームの基礎に十分慣れさせた後は、徐々に「応用問題」を出してゲームの難易度を高めていきます。この時注意すべきは、単に難しくするだけでなく、習得済の技術の延長線上で応用問題を出すことです。そうすることで、プレイヤーはそれまで習得した技術を無理なく生かすことができます。

応用問題の作成には、たとえば以下のような手法があります。

  1. 問題の単調増加
    (基礎)敵キャラ×1→(応用)敵キャラ×2

  2. 問題のレベルアップ
    (基礎)狭い落とし穴→(応用)広い落とし穴

  3. 複数の問題の組み合わせ
    (基礎1)落とし穴→(基礎2)敵キャラ→(応用)落とし穴+敵キャラ

それまで培った基礎を生かして応用問題を解けたとき、プレイヤーは確かに自分が成長したという実感を得ることができます。これはプレイヤーの自己肯定感に繋がり、ゲームを続けて遊ぼうという意欲の源泉となります。

問題が急激に難しくなり過ぎないように、徐々にステップアップするように問題を設定するのが重要ですが、そのさじ加減はテストプレイを繰り返して調整するしかありません。何度も試行錯誤を重ね、ベストな難易度曲線を設定していきましょう。